日本植物病理学会報
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馬鈴薯ヴァイラス病診斷に於ける沃度法竝に石炭酸法の利用的價値に就いて
平田 正一
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1950 年 14 巻 1-2 号 p. 25-28

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抄録
WARTENBERG及びKLINKOWSKI等の考案した馬鈴薯ヴァイラス病診斷法たる“Jodprobe”の診斷技法として著者は次の方法を行つた。供試塊莖搾汁液0.5 ccに可溶性澱粉液(水100 cc中に澱粉1.5 g加温溶解)を0.5 cc加え,更に沃度液(30%アルコール100 cc中に沃度2gを30℃で加温溶解して實驗時25℃に保つ)1~3 cc注加し,沃化澱粉液の褪色白化に要する時間を測定する。この結果健全薯に罹病薯よりも著しく褪色が遲延することが觀察され,又反應中沈降を生ずるがこれは健病との關係はない。本法による紅丸種の掘取直後試料の診斷率は約70%内外にして催芽塊莖では殆んど診斷不可能である。診斷上最も困難なる試料と試藥の混合比の決定にして,反應迅速なるため測定誤差を生ずる短所がある。
石炭酸法は塊莖切斷面に0.1%の石炭酸液を滴下して呈色度を比較する方法と塊莖搾汁液1 ccに0.1%石炭酸液0.2 ccを試驗管内で混加し室温に於て液層の呈色度を比較する方法とについて實驗したが,その結果は兩法に於て健全薯は罹病薯よりも呈色度高く,切斷面に於ては黒變し,汁液に於ては暗褐紫色となる。この呈色度と罹病度との間には或程度の相關が存在するが,診斷率は一般に低く補助的診斷法としての域を脱しない。健病間の呈色傾向はHORNIG氏, PFANKUCH及びLINDAU氏及び日野博士等の實驗結果と一致した。
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