抄録
1) 馬鈴薯葉柄及び塊茎スライスの組織を5分間45~53.5℃の温湯に浸漬し,冷却後疫病菌を接種した。抵抗性はこの処理で著しく低下した。
2) この処理は菌の侵入時間に影響しなかつた。また生細胞内の菌糸伸長速度にも影響しなかつた。
3) 菌侵入後の寄主植物の過敏感死時間は著しく遅延した。
4) 原形質糸の出現頻度は,この処理で著しく低下した。
5) 塊茎スライスのR.Q.はこの処理で影響されない(少なくも20時間後に)。また呼吸はこの処理で著しく低下し,且つ処理終了後もなお低下を続け,ある時間後に再び回復し始める。
6) 以上から疫病菌侵入に伴う寄主植物の過敏感死と代謝活性は密接な連関を持つと結論した。