1958 年 23 巻 5 号 p. 215-218
現在稲熱病の薬剤防除には有機水銀剤が主に用いられているが,微生物の変異性から考えて将来その耐性菌の現われる可能性が充分考えられる。すでにJ. J. ChristensenはGibberella zeaeをmalachite green, ethyl mercuric phosphateなどに継代培養すると,菌はそれらの薬剤に対して次第に抵抗性を現わすことを見,また山崎らは稲熱病菌が硫酸銅,硼酸,昇汞などに対し抵抗性を示すことを報告している。そこで有機水銀剤として主にフェニール酢酸水銀をえらび,稲熱病菌の本剤に対する耐性を検討した。
研究に当り供試薬剤を提供された三共農薬,北興化学,鹿児島化学工業,日本特殊農薬の各社に深謝する。また実験に種々援助を与えた坂本互,宮内紀雄の各研究室員に厚く御礼申上げたい。