日本植物病理学会報
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ウイルスに全身感染させた葉の熱処理または冷処理によるlocal lesionの誘起
大橋 祐子下村 徹
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1971 年 37 巻 3 号 p. 211-214_1

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抄録

1. TMVを接種したN. tabacum Xanthi, N. tabacum Samsunなどのsystemic hostの葉を接種2日後熱水(50℃)で2分間処理すると,この葉にlesionが形成されることを前報で述べたが,本実験の結果では,以上のほか,TMVとペチュニア,CMVとN. glutinosaまたはペチュニアの各組合せでも同処理によるlesionが形成された。また,TMVを接種したXanthi, Samsunおよびペチュニアの葉を接種2日後氷水(0℃)で10秒-1分間処理することによっても,確率は低いがこれらの葉にlesionが形成されることを確認した。
2. 高温(30℃)でTMVに全身感染させたN. glutinosa, Xanthi nc,およびSamsun NNなどのlocal lesion hostの葉を接種2日後熱水(50℃)で2分間処理すると,その後ふたたび高温に保ったままでも,これらの葉にlesionが形成された。また,このように全身感染させた葉を接種2日後氷水で5秒-2分間処理した場合にもlesionが形成された。
3. 冷処理によって形成されるlesionは,形成の速度が速く(早い場合は処理後1時間で完成)白いリング状となり褐変しない点が,熱処理によって形成されるそれとは異なっていた。熱処理によるlesionは処理後15-20時間で形成され褐色のリング状となった。

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