1973 年 39 巻 1 号 p. 49-52
チオファネートーメチル(Th-M; dimethyl 4, 4'-o-phenylenebis (3-thioallophanate))に対して感受性の異なるイネ紋枯病菌(Pellicularia sasakii)およびリンゴ斑点落葉病菌(Alternaria mali)を用い,本殺菌剤の代謝を検討した。その主代謝産物はmethyl 2-benzimidazolecarbamate (MBC)と同定され,他に量的には少ないが,methyl 5-hydroxy-2-benzimidazolecarbamate (HMBC)およびP. sasakiiによってのみ生成する未知物質Xも見出された。非感受性菌であるA. maliによるMBCおよびHMBCの生成は感受性菌のP. sasakiiによるよりも早かった。MBCのP. sasakiiに対す抗菌活性は,Th-MおよびHMBCより強かった。A. maliに対しては,いずれの代謝産物もTh-Mと同様,ほとんど抗菌活性を示さなかった。