日本植物病理学会報
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イネ白葉枯病に関する研究
II 病斑組織の加水分解酵素について
宮崎 栄一郎山中 達三沢 正生
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1976 年 42 巻 1 号 p. 21-29

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抄録
イネ白葉枯病病斑組織の加水分解酵素(cellulase・invertase・xylanase・β-amylase・pectinase・lipase・lecithinase・phosphatase・protease)の活性化の有無とその至適pHを測定した。また病原細菌(Xanthomonas oryzae)の培地中での上記酵素類の生産について実験した。
1) 病斑組織では,各酵素とも健全組織よりも活性が増大している。ただpolygalacturonaseは発病により活性の増大することはなかった。
2) β-amylaseを除く他の酵素は,発病初期の方が活性が大である。ただcellulaseのみは,発病初期よりも発病8日後の方が活性が大であった。
3) 病斑組織での酵素活性の増大は,病菌の生産する酵素に由来する所が大きい。
4) 病斑組織のproteaseのpH-活性度曲線には,3つのpeakがあるが,pH 8.7の活性が顕著に増加した。
5) Proteaseを部分精製し,各種金属塩のprotease活性に与える影響を見た。Mn"・Co"・Fe"は,3種のproteaseすべての活性を促進した。Fe'"は,pH 5.0-protease活性のみ促進した。Cu"は,pH 10.5-proteaseのみを阻害したが,Hg"は,すべてのproteaseを阻害した。
6) 供試した7種の病菌菌株のpH 8.7-protease生産能と病原性の強弱との間に平行関係が認められた。
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