日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
ジャガイモ塊茎組織の不親和性疫病菌に対する抵抗性の程度とリシチン蓄積速度の関係
佐藤 章夫冨山 宏平
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 42 巻 4 号 p. 431-435

詳細
抄録

抵抗性の程度の異るジャガイモ塊茎切断面組織に,不親和性疫病菌を接種し,抵抗反応とリシチン生成の時間経過との関係を調べた。リシチン生成開始が早く,かつ急激に増加する組織は強い抵抗性を示した。リシチン生成開始は遅れるが急激に増加する組織は中程度の抵抗性を示した。リシチン生成開始が遅れ,かつ増加の緩慢な組織は弱い抵抗性を示した。到達した最高リシチン量は中程度抵抗性品種で最高で,強抵抗性品種で中程度であり,弱品種で最低であった。これらの事実は,感染組織で菌糸が速やかにその進行を停止するばあいにリシチンの蓄積が速やかに止まり,また余りに抵抗性が弱いばあいはリシチンの蓄積がきわめて緩慢であることに対応するものと考えられる。以上の結果はリシチンが塊茎組織における菌糸の伸長抑制に対して重要な役割を演じているという考え方を強く支持している。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top