日本植物病理学会報
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テンサイ種子のバクテリゼーションに関する研究
II. テンサイ根面細菌の立枯病菌に対する抗菌性とテンサイ生育促進効果
李 王休生越 明
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1986 年 52 巻 2 号 p. 175-183

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抄録
テンサイの根面から分離した細苗のテンサイ苗立枯病菌に対する抗菌性を培地上で調べ,抗菌性の強い株を選択した。Aphanomyces cochlioidesに対して抗菌性を有する細菌は18.2%(199/1,094株)であり,その多くはRhizoctonia spp., Pythium spp.にも抗菌性を示した。抗菌性細菌の多くはfluorescent pseudomonadsで,次いでnon-fluorescent pseudomonads, bacilliであった。これら抗菌性細菌はテンサイの生育期間中,根面に存在しており,いつでも分離することができた。
選択した細菌をテンサイ種子に処理して育苗し,生育促進効果,病害防除効果を調べた。バクテリゼーションによって,発芽を促進するもの,茎葉重および根重を増加するもの,立枯病防除効果を示すものがあった。このうち立枯病防除効果は,主としてPythium spp.に対するもので,生育初期の効果が重要であった。発芽促進,生育促進,立枯病抑制に効果のある細菌の多くはfluorescent pseudomonadsであった。
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