日本植物病理学会報
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直接二重抗体サンドイッチELISAに利用できるモノクローナル抗体を得るためのハイブリドーマのスクリーニング法の選定
大島 一里Jumanto HARJOSUDARMO石川 陽四方 英四郎
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1990 年 56 巻 5 号 p. 569-576

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抄録

255種のモノクローナル抗体(MoAb)産生ハイブリドーマを3種のluteovirus, 2種のplant reovirusおよび1種のpotyvirusに対して作製した。Luteovirusとしてはジャガイモ葉巻ウイルス,テンサイ西部萎黄ウイルスおよびタバコえそ萎縮ウイルス,plant reovirusとしてはイネ萎縮ウイルスおよびイネラギットスタントウイルス,potyvirusとしてはジャガイモYウイルス-普通系統を用い,ハイブリドーマは以下の4種類の異なる方法によるELISAでスクリーニングした。方法1.生理リン酸緩衝液(PBS), pH 7.4中で純化ウイルスを直接マイクロプレートウエルに吸着させた抗原吸着間接ELISA (AAI-ELISA),方法2.炭酸-重炭酸緩衝液,pH 9.6中で純化ウイルスを直接マイクロプレートウエルに吸着させたAAI-ELISA,方法3.ポリクローナル抗体(PoAb)をtrapping抗体,抗原としては純化ウイルスをTween-20を含むPBS (PBS-T), pH 7.4中で反応させた間接二重抗体サンドイッチELISA (IDAS-ELISA),方法4. PoAbをtrapping抗体,抗原としてはPBS-Tで搾汁したウイルス罹病葉粗汁液を反応させたIDAS-ELISAを用いた。上記4種類のELISAにおける反応に基づき,MoAb産生ハイブリドーマを10グループに分けた。腹水より得られたMoAbを精製し,スクリーニングに用いた4種類のELISAを行うと,DAS-ELISAで利用可能なMoAbは,方法1-4の4種類すべてのELISAに反応するグループ1,あるいは方法1, 3および4のELISAに反応するグループ2に属した。以上の結果は,スクリーニングにおいてグループ1あるいは2に属するハイブリドーマを選抜すればDAS-ELISAに利用可能なMoAbが得やすいことを示唆している。

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