日本植物病理学会報
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アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌の菌体内酵素の電気泳動パターン
山本 英樹小林 喜六生越 明
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1990 年 56 巻 5 号 p. 584-590

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抄録

アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌(Phialophora gregata)それぞれ10菌株のほか,アズキ由来のAcremonium sp.,コムギ条斑病菌(Cephalosporium gramineum)を供試して15種類の菌体内酵素の電気泳動パターンを比較した。その結果,これら3種の間では15の酵素すべてにおいて泳動パターンが著しく異なっており,相似度は0.05であった。また,アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌については,11の酵素において同一の泳動パターンを示したが,他の4酵素(乳酸脱水素酵素,パーオキシダーゼ,α-エステラーゼ,酸性ホスファターゼ)は両菌間で泳動パターンに差異が認められた。アズキ落葉病菌どうし,ダイズ落葉病菌どうしの相似度はそれぞれ0.83, 0.97であったが,両菌間では0.64であった。以上のことから,アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌は同一種ではあるが遺伝的に分化していることが明らかとなった。

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