抄録
ストレリチアから分離された青枯病菌,Pseudomonas solanaceayum (Str-10菌株)の非病原性突然変異株(Str-10 op)を用いて,トマト青枯病の発病抑制効果を調べた。Str-10 opを前接種すると,バクテリオシシ感受性および耐性のいずれの病原性菌株による青枯病の発病も著しく抑制されたが,抑制程度は各病原性菌株によって異なった。高温(30∼37°C)ではこの抑制効果は発現しなかった。トマト苗に処理したStr-10 opの28日目の根面部での生存濃度は2×106cfu/g生根また根圏部での生存濃度は2×105/g乾土であった。この菌株は根の組織に定着可能で土壌表面から上部2cmまで茎組織内を移動した。青枯病の発病抑制効果は,病原性菌株に対するStr-10 opの比率が1.0以上の場合に顕著に発現した。したがってStr-10 opによる発病抑制には誘導抵抗性の関与が示唆された。