抄録
Pythium sulcatumは,しみ腐れの症状を示しているニンジンから分離される優占種であり,人工接種により同じ病徴を示した。本菌は,特に春作で苗の段階から収穫期まで無病徴の貯蔵根および吸収根から分離された。また,無病徴の貯蔵根における感染部位は上部に限られており,実際に病徴が現れる部位と一致していた。P. sylvaticum, P. ultimum, P. coloratumおよびP. spinosumもニンジンの根および根や葉の残渣から分離されたが,病原性はほとんどなかった。吸収根の残渣は,P. sulcatumの第一次伝染源であることが認められた。また,本菌はニンジンを連作している圃場に広く分布していた。