日本植物病理学会報
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レタスに生存するPseudomonas cichorii菌数の推移とレタス腐敗病発病との関係
曵地 康史斉藤 光鈴木 一実
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1996 年 62 巻 2 号 p. 141-146

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抄録
ポット栽培したレタス(Lactuca sativa L.品種サクセス)の第7葉をPseudomonas cichorii菌液中に浸漬した。高湿度30°C条件下で7日間静置培養したところ,レタス腐敗病の激しい発病が認められ,レタス葉に生存するP. cichorii菌数は1.3×108cfu/gとなった。20°Cで静置培養した場合,レタス腐敗病の発病は顕著に軽く,レタス葉に生存するP. cichorii菌数は105cfu/g以下となった。例年,腐敗病が多発する圃場において栽培されているレタスに生存するP. cichorii菌数の推移と腐敗病発病との関係について検討した。土壌に生存するP. cichorii菌数は,定植37日前から収穫時まで104cfu/g dry soil以下であった。結球前のレタス体に生存するP. cichorii菌数は104cfu/g以下であった。結球期のレタス葉に生存するP. cichorii菌数は対数正規分布を示し,P. cichorii菌数が105cfu/g以上を示すレタス葉で腐敗病の発病が認められた。外葉と結球葉に生存するP. cichorii菌数には正の相関が認められ,それぞれ結球初期と中期以降に増加した。また,外葉の発病株率と結球葉の発病株率にも高い正の相関が認められた。すなわち,P. cichoriiは結球期のレタス葉において葉面微生物として生存しており,菌量が105cfu/g以上となった場合にレタスに病徴が生じ,外葉に感染したP. cichoriiが結球葉における発病の伝染源となる。
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