性格心理学研究
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Print ISSN : 1345-3629
現代大学生の「ふれ合い恐怖的心性」と友人関係の関連についての考察
岡田 努
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2002 年 10 巻 2 号 p. 69-84

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抄録

現代大学生における「ふれ合い恐怖」的傾向と友人関係の特徴の関連についての調査研究を行った.大学生の対人恐怖的な傾向と「ふれ合い恐怖」的な傾向に関する尺度を作成し,また対人不安を感じる場面に関する分類を行った.対人恐怖的な傾向と「ふれ合い恐怖」的な傾向に関する尺度を変量としたケースのクラスタ分析の結果,4つの大きなクラスタが得られた.第1クラスタ(「ふれ合い恐怖」尺度の「対人退却」得点だけが全体の平均より高い群)の青年は,心情的に近い他者との関係において不安を示していた.また友人関係尺度の「不介入(他者との深い関係をとらない)」得点が高かった,これに対して,第4クラスタ(「対人退却」以外のすべての尺度の得点が高い群)は,友人関係尺度における「友人を傷つけないよう気を遣う」傾向の下位尺度得点が高かった.また第3クラスタ(「対人退却」下位尺度得点を除く「ふれ合い恐怖」および対人関係尺度の全得点が高い群)は,表面的で円滑な友人関係を取る傾向が高かった.これらの結果から,従来の知見とは異なり,対人関係から退却する「ふれ合い恐怖」群(第1クラスタ)と,表面的に対人関係が円滑に取れる群(第3クラスタ)とは,異なる群の青年であることが見いだされた.

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© 2002 日本パーソナリティ心理学会
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