心身医学
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臨床経過中に重症の逆流性食道炎を合併した神経性食欲不振症の1例
芝山 幸久滝井 英治加藤 明子松村 純子島田 涼子坪井 康次中野 弘一筒井 末春
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1999 年 39 巻 7 号 p. 547-551

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抄録

症例は初診時18歳女性で, 身長163cm, 体重37kg, 無月経と体重減少を主訴に来院した. 自己嘔吐や過食のエピソードはなく, 治療経過中に心窩部痛が出現したため内視鏡検査施行したところ, GradeBの逆流性食道炎を認めた. さらに約1年後胸のつかえ感, 心窩部痛が出現したため内視鏡検査再検したところ, GradeDの重症逆流食道炎を呈してした, プロトンポンプ阻害薬(PPI)のランソプラゾール投与にて1カ月後には著明に改善していた. 発症機序として, 低栄養状態に伴う胃排出能低下によりTLESRが増加し, 逆流性食道炎を発症したと考えられた. BNに逆流性食道炎が合併することは知られているが, ANでも胸やけや心窩部痛は胃食道逆流症を想定すべきである. 自覚症状は摂食不良の一因にもなるため, 早期に内視鏡検査を施行して, PPIなどの投与を考慮すべきである.

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© 1999 一般社団法人 日本心身医学会
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