心身医学
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巻頭言
特集 過敏性腸症候群(IBS)に対する心理療法の実際
  • 金澤 素
    2021 年 61 巻 4 号 p. 320
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー
  • 藤井 靖, 小林 加奈
    2021 年 61 巻 4 号 p. 321-329
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    過敏性腸症候群 (IBS) に対する力動的精神療法では, 症状の根源には対人関係の葛藤があると想定されており, そのことと情動や腹部症状との関連について洞察を得ることを目的としている. これまでにさまざまな効果測定, 実践研究が行われているが, 治療が奏効すれば症状の改善のみならず日常生活全体や人生にもよい影響が波及する可能性が指摘される一方で, 属人性が高く, 治療が長期にわたる, 再現性に乏しいなどという課題もある. また, ストレスマネジメントはおのおのの技法がすでに一定のエビデンスを備え, 日常臨床の中で活用されている. 心理的ストレスモデルを基本にしてアセスメントを行い, ストレスを緩衝しうる要因の変容を目的にする. 具体的にはIBSに特化した認知の歪みの修正, コーピングレパートリーの拡充, リラクセーション技法を患者の特性に合わせて適用する. その他, 必要に応じて生活習慣の改善やソーシャルサポートの活用, 食事指導なども組み合わせていくことが求められる.

  • 船場 美佐子, 河西 ひとみ, 藤井 靖, 富田 吉敏, 関口 敦, 安藤 哲也
    2021 年 61 巻 4 号 p. 330-334
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    難治性の過敏性腸症候群 (IBS) に対する心理療法の1つとして, コクラン・レビューでは認知行動療法 (CBT) の有効性が示されている. 本稿では, 近年日本で臨床研究が実施されている, IBSに対する 「内部感覚曝露を用いた認知行動療法 (CBT-IE)」 とその構成要素, CBT-IEの臨床研究の動向を紹介する.

  • 篠崎 雅江, 福土 審
    2021 年 61 巻 4 号 p. 335-340
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) の発症および増悪にストレスが関与することはよく知られている. 心理的異常と比例してIBSが重症化するので, 重症度に応じた心理療法の適応が必要である. IBS診断治療ガイドラインでは, 第2段階で簡易精神療法, 第3段階で専門的な心理療法の施行を推奨している. 自律訓練法 (autogenic training : AT) は公式に受動的注意を払い, 自己催眠によって心身を副交感神経優位状態にしてホメオスタシスの均衡を図る, 体系化された心理生理的治療法である. IBSに対するATは, 消化管を支配する迷走神経の過剰な活動を抑制することが多い. また, 自己効力感の高まりや, 「よくなっている」 という感覚をもたらすことを脳画像からも説明可能である. より多くの練習が情動に関する皮質機能を活性化させていると考えられる. IBSに対するATのランダム化比較試験は催眠療法や認知行動療法と比較して論文数が少ない. 統一されたプロトコルを用いた研究が必要である.

  • 村椿 智彦, 金澤 素, 福土 審
    2021 年 61 巻 4 号 p. 341-346
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    マインドフルネス療法 (mindfulness-based therapy : MBT) は世界的にエビデンスが増加しつつある心身療法である. マインドフルネス瞑想は異常なストレス応答や痛み行動を改善することが知られている. またMBTは過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) に特有の認知様式である破局視と消化管特異的不安を改善するため, IBSに対する有望な治療法の1つとして考えられている. IBSに対するMBTはいくつか有望なエビデンスを示しているが研究数が少なく, さらなる研究が求められる段階である. 本稿では, マインドフルネスの定義と実践法, 瞑想の神経生理, IBSに対するMBTの効果, そして瞑想の有害事象について概説する.

  • 福井 義一
    2021 年 61 巻 4 号 p. 347-353
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) の診療ガイドラインでは, 標準的治療が奏効しなかった第3段階で心理療法が推奨されており, エビデンスを有する心理療法の1つとして催眠療法が挙げられている. しかしながら, 本邦において, IBSに対する催眠療法の有効性は十分に周知されておらず, 患者からの催眠療法に対するアクセシビリティも低い. 本稿では, IBSに対する催眠療法の適用について, そのエビデンスと背景にあるメカニズムについて述べ, 介入研究でよく使用されてきた催眠療法プロトコルの構成要素を紹介した. また, 実際にIBSに対して催眠療法を適用する際の工夫について述べ, 今後のわが国におけるIBSに対する催眠療法の課題と展望についても論じた.

原著
  • 栗林 千聡, 武部 匡也, 上田 紗津貴, Eric Stice, 佐藤 寛
    2021 年 61 巻 4 号 p. 354-363
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    背景 : Eating Disorder Diagnostic Screen (EDDS : Sticeら, 2000) は, DSMに基づく自己評価式の尺度であり, 摂食障害の有病率を推定することが可能である. EDDS-DSM-5 version日本語版を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを目的とした. 方法 : 大学生1,006名 (平均年齢19.6±1.4歳, 女性69%) は, EDDS-DSM-5 version日本語版に回答した. 対象者のうち68名 (平均年齢20.0±1.0歳, 女性63%) は, Eating Attitude Test-26 (EAT-26 : 馬場ら, 1993) およびThree-Factor Eating Questionnaire (TFEQ : 足達ら, 1992) に回答した. 結果 : EDDS-DSM-5 version日本語版の内的一貫性 (α=.86) および再検査信頼性 (r=.81, p<.001) は, どちらも十分な値を示した. EAT-26およびTFEQとの相関係数を算出した結果, EDDS-DSM-5 version日本語版は両尺度との間に正の相関が示され, 収束的妥当性が認められた. 摂食障害の有病率推定を行った結果, 神経性やせ症は2.8%, 神経性過食症は2.4%, 過食性障害は2.4%, 非定型神経性やせ症は3%, 神経性過食症 (頻度が低い, および/または期間が短い) は0.5%, 過食性障害 (頻度が低い, および/または期間が短い) は0.9%, 排出性障害は0%, 夜間食行動異常症候群は2.8%であった. 結語 : EDDS-DSM-5 version日本語版は十分な信頼性と妥当性が示され, 今後実践や研究を行ううえで有用である可能性が示唆された.

  • —予備的検討—
    橋本 和明, 竹内 武昭, 上野 孝之, 中村 祐三, 都田 淳, 端詰 勝敬
    2021 年 61 巻 4 号 p. 364-370
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    機能性めまいはうつなどの心理的要因が影響するが, 病態は不明で薬物治療は確立されていない. 本研究では抑うつ気分を伴う機能性めまいに対し, 抗うつ薬による無作為化比較試験による予備的な検討を行った. 治療薬にSSRIはescitalopram, SNRIはmilnacipranを無作為に割り付けて用い, 臨床症状の経過を比較した. また, 無作為に選ばれた対象者に4週間の待機期間を設け, コントロール群とした. 主要評価項目はClinical Global Impressions (CGI), 副次評価項目はDizziness Handicap Inventory (DHI), Vertigo Symptom Scale-short form (VSS-sf) とした. 20〜74歳までの男女13名がエントリーし, 10名が最終解析の対象となった. 各群間の年齢, 性別, 併存症, 臨床指標に有意差はなかった. 4週間の経過で, escitalopram群ではCGIが改善傾向 (p=0.05), VSS-sfも改善傾向を認めた (p=0.06). 機能性めまいの初期治療には, SSRIが有効である可能性が示唆された. 今後は多施設によりサンプルの均一化と増数による検討が望まれる.

症例研究
  • 深尾 篤嗣, 辻野 達也, 岸原 千雅子, 富士見 ユキオ, 岡本 泰之
    2021 年 61 巻 4 号 p. 371-379
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/01
    ジャーナル フリー

    心身症患者では失感情症のため心身相関の気づきが得られにくい例が多い. プロセス指向心理学 (以下, POP) は多様なチャンネルから介入して心身相関の気づきを促す. 症例 : 30歳代女性, 保健所職員. X−1年6月, 子宮頸がん治療後より微熱, 全身疼痛, イライラ, 振戦, 倦怠感持続. X年10月A甲状腺クリニック受診して無痛性甲状腺炎と診断. 12月より甲状腺機能低下症となりLT4補償開始. X+1年4月よりPOP併用. 身体の病, 悪夢, 癖などのチャンネルを介して, 自我意識の一次プロセス 「完璧主義, 理性的ないい子」 の深層意識に二次プロセス 「依存性, 感情的」 が抑圧されていることへの気づきを促した. 11月に自殺目的でLT4を多量服薬. 筆者はLT4休薬のうえ休業させたところ, 患者は徐々に甘えや不完全さを受容できるようになった. X+2年11月障碍者福祉のNPOに転職. 甲状腺機能も正常のまま維持できている. 結論 : POPは失感情症を伴う心身症患者に有効な可能性がある.

連載 心身医療の伝承—若手治療者へのメッセージ
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