心身医学
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若年化,遷延化する摂食障害患者の問題と支援(<シンポジウム>変革期の社会周題への取り組み : 精神発達と適応支援)(第45回日本心身医学会学術総会)
野添 新一鷺山 健一郎長井 信篤筒井 順子瀧井 正人武井 美智子成尾 鉄朗
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2005 年 45 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

本稿の目的は,変革期の社会問題としてわが国で急速に増加している摂食障害患者の精神発達と適応支援について検討することである.本症は高度経済成長期やバブル期など社会変革の影響を受けて発現し増加していると考えられる.今回われわれは発症因,持続因として養育期における親の養育態度が関与していると予想し,親の養育態度を調査するためのEMBUを用いて調査を行った.その結果,患者は15歳時の親の養育態度について父親,母親とも「拒絶的」で「情緒的暖かみ」に欠けていたと評価した.しかし,患者自身にも過敏で強迫的な性格特性がみられ,親子間の誤った情緒交流が形成されることも考えられた.また,Keysの先行研究と遷延例の調査から半飢餓状態は精神機能を障害するので,栄養学的改善を優先することと,発症早期に再適応性を促すためのサポートが必要なことが示唆された.以上から,診断と同時に不適切な親子関係の情緒交流を修復することと,病状に応じた治療への積極的な支援を行うことの重要性を指摘した.

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© 2005 一般社団法人 日本心身医学会
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