心身医学
Online ISSN : 2189-5996
Print ISSN : 0385-0307
ISSN-L : 0385-0307
繰り返しストレスによる海馬BDNF mRNAの発現調節機構の変化(<パネルディスカッション>情動・行動の脳内機序に関する研究の進展)(2004年/第45回日本心身医学総会/北九州)
村上修 二井辺 弘樹森川 吉博久保 千春仙波 恵美子
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 45 巻 6 号 p. 409-421

詳細
抄録

ラットに1日6時間の拘束ストレスを3週間にわたり連日負荷することにより, 海馬錐体細胞の樹状突起が退縮することが知られている. 神経栄養因子の1つであるBDNFは神経細胞の生存と樹状突起の形態維持に重要な役割を果たしている. われわれは1〜3週間の繰り返しストレス下での海馬BDNF mRNAレベルの変化について検討した. 繰り返しストレスにおいて, 6時間の拘束ストレス直後には海馬CA3, 歯状回のBDNF mRNAは有意に減少するが, 急性ストレスと比較するとその減少の程度は弱かった. 拘束ストレス中の血清グルココルチコイド(GC)レベルの変動は, 繰り返しストレスでは急性ストレスに比較して遅延傾向が認められた. 繰り返しストレス下でのBDNF mRNAの減少は, 慢性ストレス下や精神疾患における海馬体積減少に関与しているのではないかと考えられる.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本心身医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top