これまでも,心身症患者に対し,心身の緊張の緩和,カタルシス,内面への気づきとその言語化を容易にするなどの効果を期待して,描画を取り入れた治療は試みられてきた.今回,それらの効果を活かしながら,心身症患者に適していると考えられるプログラムを構成し,グループという場を設定したグループアートセラピーを行ったので,一症例の詳細を交えて報告する.身体感覚や感情を程よく引き出すワークをプログラムし,仲間との安心できる場を設定することで,カタルシスや気づきを得ることを目的としたグループアートセラピーを行った結果,参加者の多くに,筋緊張の緩和や,理性と感情のバランスがよくなり柔軟に物事に対処しながらも自己主張できるようになる,という変化が認められた.グループアートセラピーは心身症患者に対する治療法の一つとしての可能性をもつものと考えられる.