女性は心身状況不良時に妊娠すると,その後の妊娠経過に異常をきたし,流産や病的分娩によって母児の生命リスクが高まるため,そのような病況下では妊娠が成立しないように妊孕機能をマイナス制御する生体機構として,自律的に起動する自己防衛反応としての母性保護作用が存在する.心身症は現代の不妊症にとって重要な要因となった.不妊症と心身症との関連を自律神経失調症とうつ病との関連から,自院例におけるKupperman更年期不定愁訴とSRQ-Dとの相関から検討した.この結果,両症と卵巣機能不全不妊症には相関関係があることが明らかになった.このため現代の不妊症治療では心身症に対する対応が重要になり,薬物治療は漢方療法が主体的役割を担うと思慮された.