2009 年 49 巻 3 号 p. 233-239
近年,瞑想などを取り入れたマインドフルネスに基づく心理療法が注目されている.本研究の目的は,禅的瞑想を取り入れた集団トレーニングプログラムを作成し,このプログラムが,一般健常者の精神的健康に及ぼす影響について実験的に検討を行うことであった.また,効果の媒介変数として,認知的要因を想定して検討を行った.インフォームド・コンセントに同意した20名の一般健常者が抽出され,4週間のうちにほぼ毎日の自宅練習と週1回の集団セッションが課せられた,瞑想の練習は,教示の吹き込まれたCDに従い,いつでも気軽に行えるよう工夫されていた.その結果,本プログラムは,精神的健康における抑うつ傾向の軽減と,認知的側面においては思考抑制の減少,破局的思考の緩和能力の向上,理性的思考と感情的思考のバランスの回復などの効果をもたらすことが示された.本研究の可能性と限界について考察がなされた.