2010 年 50 巻 9 号 p. 841-848
頭痛関連疾患,特に一次性頭痛は他の身体疾患と比べてうつ病や不安障害をはじめとした気分障害を合併しやすいとされる.特に片頭痛関連疾患の場合はセロトニンの枯渇という病態生理学的な背景の共通点から両者は併存症となりやすい.また薬剤乱用によって誘発される薬物乱用頭痛(medication-overuse headache:MOH)では精神心理障害の有病率がさらに高いといわれている.うつ病や不安障害の治療には通常抗うつ薬が用いられるが,各種疼痛の治療には三環系抗うつ薬(TCA)をはじめとした抗うつ薬が用いられ,特にamitriptylineは慢性頭痛の発症予防に対するエビデンスも確立されており,その他の抗うつ薬の有効性の報告も増えてきている.副作用や容認性の点からも個々の患者に合った治療法の選択が求められる.