心身医学
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原発事故後のストレス : 心身症を呈した福島第一原子力発電所作業員の2例
岩橋 成寿國井 啓子湊谷 豊
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2013 年 53 巻 11 号 p. 1025-1030

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抄録

原発事故後に,心身症を呈した福島第一原子力発電所(1F)内作業員の2症例を報告する.症例1:21歳,男性. 2011年4月6日に1F内で壁に穴を開ける工事を行った.翌日から,前頭部の割れるような頭痛が生じ, 4月8日に頭痛,吐き気,倦怠感を訴えて当院を受診した.防護服は白いので,白い服を見ると怖いと訴えた.ストレスにより生じた片頭痛と診断し,年齢を考慮して, 3日間の自宅療養と, 1Fの30km圏外での業務に限定することを指示した診断書を発行した.症例2:45歳,男性. 2011年7月19日の17時に,気分不快と息苦しさを訴えて当院急患室を受診した.循環器科に入院して冠動脈CTを行い,心疾患は否定された.退院後, 1Fから30km圏内にある宿舎に帰ったとたんに動悸と胸部不快感が再発して急患室を受診し,当科に紹介された.患者は4月に関西から派遣され, 1F内でがれき撤去作業に従事していた.放射能恐怖が関与した心臓神経症が診断され,自宅に帰って治療を受けるように指示した.メルトダウンした1F内の作業員は,強い心理的ストレスにさらされていることが示唆された.

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© 2013 一般社団法人 日本心身医学会
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