心身医学
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神経性食欲不振症患者への在宅中心静脈栄養法の導入の試み(摂食障害の治療の進歩,2012年,第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(鹿児島))
鈴木(堀田) 眞理荒木 まり子浦野 綾子大和田 里奈市原 敦弘
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2013 年 53 巻 9 号 p. 841-848

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抄録

日本の医療行政は入院期間の短縮化と在宅医療を推進している.重症の低体重,電解質異常,腎不全で入院を繰り返さざるを得ない神経性食欲不振症(anorexia nervosa:AN)患者に在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)を導入した.本人と家族にインフォームド・コンセントを行い,訪問看護サービス,在宅支援薬局,地域の医療機関と連携して,HPNの円滑な実施と合併症の発生に対応した.本症に特有の体重増加への恐怖に配慮してHPNの投与カロリーと内容を決定した.HPNの導入は体重減少や脱水,腎不全の進行を阻止することが可能で,再入院を阻止できた.アルバイトや小旅行が可能になり,患者や家族のQOLの改善にもつながった.ANが治癒あるいは,十分な体重増加が得られてHPNを終了できる症例があった.合併症はカテーテル関連血流感染症が最も多く,ライン損傷,肝機能障害であった.

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© 2013 一般社団法人 日本心身医学会
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