抄録
近年インターネット機器の急速な普及に伴い,依存的な使用による重大な社会的・健康問題が話題になりつつある.2012年の調査では,中高生の約52万人にインターネット依存が疑われると推計されている.インターネット依存は世界的にも疾患ととらえる方向にある.インターネット依存にはうつ病や不安性障害,強迫性障害,睡眠障害などの精神疾患や注意欠陥多動障害などの発達障害を合併することが多い.治療は認知行動療法をはじめとした心理療法や,合併する精神疾患には薬物療法も用いられ,治療キャンプのようなリハビリテーションも行われる.依存性疾患は予防的対処が重要であり,家庭,医療,教育,行政機関がそれぞれ協力してインターネット依存に対処する必要がある.