心身医学
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シンポジウム特集/次世代臨床治療に欠かせない“心理教育”“再発予防”への実践的方法論
身体症状症の対人関係療法における心理教育
近藤 真前
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2016 年 56 巻 12 号 p. 1187-1191

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抄録

身体症状症 (身体表現性障害) の治療に難渋することは少なくないが, その要因の1つとして治療関係の問題が挙げられる. 身体症状を説明できる器質的要因を認めないにもかかわらず, 患者が身体症状の身体的原因究明と治療を期待する場合, 患者・治療者双方の期待の不一致により治療同盟の確立がしばしば困難となる. その際に有用な可能性があるのが対人関係療法である. 対人関係療法は, 対人関係と症状が相互に影響する病態に適用され, 心理教育を重視し, 現在の対人関係に取り組むことで症状の改善を目指す精神療法である. 治療関係も対人関係ととらえて, 実生活の対人関係と関連づけて治療戦略の中で扱うことができる. 対人関係療法は, 身体症状症に関する効果研究は少なく, その効果は明らかではないが, 治療関係を含む対人関係と身体症状の関連が強い場合は効果的な可能性がある.

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© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
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