心身医学
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原著
痛みを副症状にもつ心療内科外来患者の心理的特徴の検討
水野 泰行福永 幹彦
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2017 年 57 巻 5 号 p. 444-451

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抄録

痛みは主訴として訴えられるか否かにかかわらずすべての患者で評価されるべき重要な徴候である. 本研究では主訴としては訴えられない痛みを評価することの意義を検討するため, 心療内科外来患者155名を対象に痛みが主症状の者, 主症状ではなく痛みをもつ者, 痛みをもたないものの3群間で, 主症状のNRS, POMS, MMPIを比較した. 対象には心身症の他にパニック障害が含まれていたため両者を比較したところ, 特性が異なることがわかったため3群間の比較は心身症患者123名のみで行った. 3群は気分の状態に差はなかったが, パーソナリティ特性は副症状群は主症状群に近く, 身体症状へのとらわれ, 悲観的, 低い自尊心といった傾向が強かった. 主訴ではなくても痛みの有無を確認して, 痛みがあれば痛みを主訴とする患者に似たパーソナリティ特性を想定し, 痛みの増悪, 遷延化の可能性を念頭に置き診療にあたるべきである.

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© 2017 一般社団法人 日本心身医学会
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