2020 年 60 巻 7 号 p. 617-625
目的 : 花を一輪いけ, その花を鑑賞することが, 人の自律神経機能および肩の筋硬度, 心理的な癒し度に与える影響を調査すること. 方法 : 参加者は, 花を自ら満足するように花瓶に一輪飾り, その作品を5分間鑑賞する実験 (自己花鑑賞実験) および他人がいけた一輪の花を5分間鑑賞する実験 (他人花鑑賞実験), 写真を5分間鑑賞する実験 (写真鑑賞実験) をランダムな順序で体験した. おのおの実験の鑑賞時の心拍変動を計測し, HF値およびLF/HF値, 心拍間隔の平均値を算出した. 筋硬度計を用いて, 各鑑賞の前後で両肩の筋硬度を計測した. 各実験の終了後, 日芸版 「癒し」 評価スケールを計測した. 参加者は健康成人51名 (男性17名, 女性34名, 平均年齢56.0歳 SD 15.7) であった. 結果 : 自己花鑑賞の左肩の筋硬度は写真鑑賞 (p=0.019) より有意に減少し, 右肩の筋硬度は他人花鑑賞 (p=0.002) より有意に減少した. 自己花鑑賞のHF値が写真鑑賞 (p<0.001) より有意に高かった. 自己花鑑賞の日芸版 「癒し」 評価スケールの総合得点が写真鑑賞 (p<0.001) より有意に高かった. 結論 : 花を満足するように花瓶に一輪いけた作品を鑑賞することによって, 副交感神経活動が活性化し, 肩の筋肉が弛緩し, 心理的に癒されることが示唆された.