心身医学
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特集 過敏性腸症候群(IBS)に対する心理療法の実際
過敏性腸症候群に対する力動的精神療法・ストレスマネジメントの実際
藤井 靖小林 加奈
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2021 年 61 巻 4 号 p. 321-329

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抄録

過敏性腸症候群 (IBS) に対する力動的精神療法では, 症状の根源には対人関係の葛藤があると想定されており, そのことと情動や腹部症状との関連について洞察を得ることを目的としている. これまでにさまざまな効果測定, 実践研究が行われているが, 治療が奏効すれば症状の改善のみならず日常生活全体や人生にもよい影響が波及する可能性が指摘される一方で, 属人性が高く, 治療が長期にわたる, 再現性に乏しいなどという課題もある. また, ストレスマネジメントはおのおのの技法がすでに一定のエビデンスを備え, 日常臨床の中で活用されている. 心理的ストレスモデルを基本にしてアセスメントを行い, ストレスを緩衝しうる要因の変容を目的にする. 具体的にはIBSに特化した認知の歪みの修正, コーピングレパートリーの拡充, リラクセーション技法を患者の特性に合わせて適用する. その他, 必要に応じて生活習慣の改善やソーシャルサポートの活用, 食事指導なども組み合わせていくことが求められる.

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© 2021 一般社団法人 日本心身医学会
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