日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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原著
河内長野市, 堺市で発生した大腸菌O-157感染による溶血性尿毒症症候群の治療経験
八木 和郎村上 佳津美日野 聡宮里 裕典高丘 将月山 啓福島 強次柳田 英彦村田 由佳桑島 宏彰林 義之吉岡 加寿夫高橋 均坂田 育弘長谷川 廣文今田 聰雄丸山 耕一中尾 雄三
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1997 年 10 巻 2 号 p. 209-213

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抄録
 平成8年6月に河内長野市で,翌7月に堺市で腸管出血性大腸菌O-157による多数の出血性腸炎患者が発生し,それに合併した溶血性尿毒症症候群 (HUS) 計16例を我々は今回経験した。その内訳は,男児8例,女児8例で,年齢は1歳から10歳で,HUSの完全型 (溶血性貧血,血小板減少,急性腎機能障害の3主徴がそろっているもの) 9症例と不完全型 (3主徴の1つ,ないし2つを欠くもの) 7症例であった。治療として,10例にγ-グロブリン製剤を投与した。5例 (男児2例,女児3例でいずれも完全型) に血液透析を行い,そのうちの3例には血漿交換を併用した。いずれも15病日までには透析から離脱した。HUSのその他の随伴症状として膵炎,中枢神経症状,眼底出血,トランスアミナーゼの上昇を認めた例があったがいずれも軽快している。透析を施行した症例の中で2例に持続する蛋白尿を認め,腎生検を施行し,糸球体,間質に変化を認めた。今後も長期間の経過観察が必要と思われた。
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© 1997 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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