抄録
腎盂形成術を加えた一側性の先天性水腎症34例34腎において,腎生検所見と腎シンチグラムによる相対的腎摂取率を検討した。腎組織所見の内では糸球体病変は軽度で,尿細管の拡張が特徴的であった。なかでも近位尿細管は正常であるにもかかわらず,遠位尿細管が拡張した症例が多くみられた。間質には炎症細胞浸潤と線維化の所見がみられた。腎異形成所見は認められなかった。組織変化と手術前後の分腎機能を比較すると,間質の増殖あるいは炎症細胞浸潤が強く見られた水腎では分腎機能が40%以下を示しており,術後にも機能が改善した腎はなかった。しかし,尿細管の拡張が高度であっても,術後に機能が改善した症例 がみられた。