2000 年 13 巻 2 号 p. 163-166
小児の膀胱尿管逆流現象 (以下,VURと略) における99mTc-DMSA腎シンチグラフィー (以下,本法と略) の必要性を検討した。
対象はVUR患児26名 (男児22名,女児4名,平均月齢; 67ヵ月) の61腎で,本法による分腎摂取率を測定し以下の結果を得た。(1)VURの程度と腎摂取率には有意な負の相関関係がある,(2)腎摂取率低下例の頻度はVURが軽度 (I-II度) の場合,約15%,VURが高度 (III-V度) の場合,約34%になる,(3)しかし腎摂取率低下が認められても逆流防止術によって改善が期待できる。
以上より,本法は軽度VURにおいて全例に行う必要はないが,高度VURでは逆流腎症の評価や術前・術後の腎機能評価として積極的に施行されるべきであると思われた。