10歳女児のMELAS患者が末期腎不全となり,腹膜透析を導入した。末期腎不全となった当初は,うっ血性心不全が認められ,重炭酸透析液を使用しての血液濾過透析を行った。その後,患者両親の同意を得て,乳酸透析液での腹膜透析を導入した。結果,うっ血性心不全が改善した。腹膜透析の継続により,腹膜透析液に含まれる乳酸負荷に対して,MELAS症状の悪化が懸念された。しかし,導入後も血中乳酸値の異常な上昇は認められず,臨床症状の悪化もみられなかった。現在,腹膜透析開始から1年9カ月が経過しているが,トラブルなく家庭での腹膜透析を継続し,外来通院を続けている。