2005 年 18 巻 2 号 p. 147-151
【目的】乳児期の膀胱尿管逆流症(VUR)について当科での手術成績を提示するとともにその適応について考察する。【対象と方法】1988年8月から2005年3月まで逆流防止手術を施行した乳児41例(男児40例,女児1例)を対象とした。これらの症例について,診断契機,VUR-gradeと腎障害の関係,手術適応および手術成績について検討した。【結果】診断契機は尿路感染症が41例中38例と最も多く,尿路感染を繰り返す症例を6例認めた。また,鎖肛精査2例,胎児診断された症例も1例認めた。VUR-grade 4以上の症例では腎障害の頻度が高かった。術後6カ月経過時のVUR消失率は97%であり,2年目までには100%となった。【結論】乳児期のVURに対しては,grade 4以上の高度の症例,また,grade 3以下でも尿路感染症を繰り返す症例に対しては腎障害の進行を防止する意味で早期に逆流防止手術を施行すべきである。