2006 年 19 巻 2 号 p. 83-88
特発性の巣状糸球体硬化症の組織学的亜型であるCollapsing variantの3小児例を経験した。通常量のステロイドへの反応が悪く,著明な高血圧をコントロールすることに難渋した。腹膜透析により適時除水を行いつつ,アンギオテンシン変換酵素阻害薬,アンギオテンシン受容体拮抗薬の内服,塩酸ニカルジピン持続静注を使用し,本邦の小児難治性腎疾患研究会のプロトコルに準じた治療を行った2例で寛解を得ることができた。
巣状糸球体硬化症を治療する場合,寛解導入できるか否かでその腎予後は著しく異なってくる。今回経験した3例のように,著明な高血圧,大量の蛋白尿を呈し,通常量ステロイドが無効の場合,できるだけ早期に腎生検を行い,Collapsing variantを確認できれば,血圧コントロールを集約的に行い,ステロイドパルス療法を中心とした治療を行う意義は大きいと考えられるが,より多くの症例の蓄積が必要である。