抄録
ネフローゼ症候群36例を対象にネオーラル®(CyA) の食直前,分2投与での血中濃度モニタリングをのべ96回施行した。対象は男児25例,女児11例,平均年齢9.1歳であった。年齢別に,(1)1~5歳群,(2)6~10歳群,(3)11歳以上群の3群に分けて,薬物動態パラメータについて検討した。全例で内服1時間後血中濃度 (C1) もしくは内服2時間後血中濃度 (C2) が最高血中濃度 (Cmax) となる安定した血中濃度動態を示した。Cmax,内服4時間後までの血中濃度時間曲線下面積 (AUC0-4) は各群間で有意差はなかったが,CyA投与量は,(1)群: 4.8±1.0mg/kg/day,(2)群: 3.8±0.9mg/kg/day,(3)群: 3.0±0.6mg/kg/dayで,(1)群と(2)群 (p=0.0001),(1)群と(3)群 (p<0.0001),(2)群と(3)群 (p=0.0004) の間にはそれぞれ有意差がみられた。また,体重当たりのCyA投与量 (dose) で標準化したCmax/dose,AUC0-4/doseはいずれも低年齢群になるほど有意に低値を示した。
以上より,同程度の血中濃度を目標とした場合,低年齢群ほどCyA投与量は有意に多くなり,年齢によりCyA必要量は異なると思われた。