日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
医原性低ナトリウム血症および術後嘔気嘔吐症に関する検討
神田 杏子野津 寛大貝藤 裕史松尾 雅文中西 浩一吉川 徳茂飯島 一誠
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2007 年 20 巻 2 号 p. 164-167

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抄録
 医原性低ナトリウム血症は発生頻度も高く,重篤な中枢神経症状を引き起こす合併症として近年注目を集めている。医原性低ナトリウム血症発症のリスクとして,低張性輸液および高ADH血症が知られている。重篤な感染症罹患時や手術後ではADHの分泌亢進が起こることが知られているが,その他,一般診療でよく見られるような軽症疾患であってもADHの分泌が亢進している危険性があるという報告が散見されており,その際の低張性輸液には注意が必要である。一方,術後嘔気嘔吐症は手術後の合併症として,発症頻度が高く,また,患者に強い不快感を与えるため問題視されている。その予防法や治療法に関しては研究が進められているが,発症機序に関しては未だ不明な点が多い。今回,私たちが経験した腎生検後に低ナトリウム血症および術後嘔気嘔吐症を発症した症例をもとに,これらの合併症の発症機序およびADHの関与につき考察を行った。
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© 2007 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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