日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
血液透析を導入した精神発達遅滞を伴う慢性腎不全の3症例
菅原 典子森本 哲司熊谷 直憲村田 弥栄子菅原 由美加藤 潔佐藤 寿伸根東 義明土屋 滋
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2009 年 22 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
 近年,各種腎不全治療の目覚ましい進歩により,小児末期慢性腎不全の生命予後は著しく改善している。しかし,精神発達遅滞や合併奇形を伴う場合,患者の遅滞や障害の程度,家族のサポート状況などを踏まえ,個々に腎代替治療の適応を判断する必要がある。今回われわれは,精神発達遅滞を伴う末期慢性腎不全の3症例に血液透析 (hemodialysis: HD) を導入した。いずれの症例も成人年齢に達していたが,家族の希望があり,当科で治療を行っていた。
 3症例とも,家族の患者や病気に対する考え方の変化や,患者自身の精神面での成長を受けて,経過中に治療方針の転換をする必要があったが,いずれもHDを導入し,患者や患者家族に良好な変化が見られ,QOLの改善につながった。
 今回の3症例を経験し,われわれ医療スタッフは,常に変化しうる家族の意思や患者の成長を念頭に入れて,日々の診療を行わなくてはならないと改めて痛感した。
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© 2009 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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