2014 年 27 巻 2 号 p. 130-134
多囊胞性異形成腎や腎摘出後などに代表される単腎患者の腎機能評価がしばしば問題とされる。そこで今回,経過観察中の単腎患児6 名(男児4 名,女児2 名)における血清クレアチニン値(sCr)並びに血清シスタチンC 値(sCysC)の推移を解析し,腎機能評価の検討を行った。それぞれの測定値は経時的に解離がみられ,sCr が基準値を逸脱しない動きを示す一方でsCysC が基準値を超えて高値を示す症例がみられた。また各々から導き出される推算糸球体濾過量(eGFR)においても差が認められ,sCysC から得られたeGFR が,特に思春期前後から低下傾向を示していた。単腎患児のフォローにおいては,広く汎用されるCr 値と併せて年齢や体格等の影響を受けにくいCysC 値を利用することで,より精度の高い腎機能評価が可能になると考えられた。