2014 年 27 巻 2 号 p. 71-75
偽性低アルドステロン症II 型(Pseudohypoaldosteronism type II; PHA II)は主に常染色体優性遺伝を示し,腎臓におけるNaCl 再吸収の増大に起因する高血圧やK イオン排泄不全による高K 血症,高Cl 性代謝性アシドーシスを呈しサイアザイド系の利尿剤が奏功する疾患である。原因遺伝子としてWNK(With No Lysine Kinase)であるWNK1,WNK4 遺伝子が同定されており,同遺伝子異常によるNa+Cl– 共輸送体(NCC)の活性化が原因と考えられている。2012 年に本疾患の原因遺伝子としてKLHL3(Kelch-like 3)とCUL3(cullin 3)遺伝子が新規に同定された。本稿では,偽性低アルドステロン症II 型について概説すると同時に自験例である本邦初のKLHL3 に変異を認めた偽性低アルドステロン症II 型の症例を紹介する。