日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
尿蛋白の分析からわかる事―近位尿細管における蛋白の陽性荷電嗜好性再吸収機構―
高橋 昌里
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2015 年 28 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
要旨 尿細管における再吸収機構には分子間のリガンド結合による再吸収システムと,尿腔中で陽性に荷電する蛋白が陰性に荷電する近位尿細管刷子縁と静電的に結合し再吸収される陽性荷電嗜好性のシステムが考えられてきた。これまでリガンド結合としては尿細管刷子縁に表出しているMegalin-Cubilin complex によるマルチリガンド受容体ならびに新生児型IgG Fc 受容体(nFcRN)を介する尿細管上皮細胞内への取り込みが報告されている。私たちはIgG の荷電多様性を利用して尿中蛋白の陽性荷電嗜好性の再吸収システムが働いているかどうかを検討し,少なくともIgG においては陽性荷電嗜好性再吸収機構が働いていること,そしてその機能発現にはネフロンの成熟が必要であることを証明した。本稿では私たちの研究を軸に尿細管における蛋白再吸収機構の概略を述べる。
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© 2015 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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