2015 年 28 巻 1 号 p. 75-80
要旨 Lowe 症候群はOCRL1 遺伝子異常に基づく多臓器を障害する疾患であり,眼腎脳症候群ともいわれる。10歳代から次第に腎機能障害が進行し,30–40 歳代で末期腎不全へ陥るとされるが,維持透析が行われることは稀である。今回我々は,急性腎障害から回復せず早期に末期腎不全へ進行し長期留置型カテーテルを用いて血液維持透析を行っているLowe 症候群の1 例を経験した。急性腎障害から回復すると考えられたため血液透析を導入したが,早期に末期腎不全となり,血液維持透析を継続している。本症例は末期腎不全に陥ったLowe 症候群で血液維持透析を施行している日本で初の症例である。また,急性腎障害から回復せず早期に末期腎不全に至ったのは,Lowe 症候群の患者の腎臓には腎障害に対する脆弱性が存在することが推測された。