日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
症例報告
改訂 Oxford 分類や半定量的分類により予後予測が可能と思われた紫斑病性腎炎 ISKDC 6 型の 2 症例
山田 拓司吉兼 正宗
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 34 巻 2 号 p. 159-167

詳細
抄録

症例 1 : IgA 血管炎発症約 1 か月後に血尿と中等度の蛋白尿を呈した 3 歳女児.腎組織上,全糸球体に全節性の管内増殖とメサンギウム増殖があり,広く分葉化や係蹄の二重化を認めた.ステロイドパルス療法(intravenous methylprednisolone: IVMP)施行後多剤併用療法を継続し,順調な経過であった.症例 2 : IgA 血管炎発症約 3 週間後に nephritic-nephrotic な状態に至った 6 歳男児.腎組織上,びまん性に管内増殖とメサンギウム増殖がみられ,分葉化や係蹄の二重化に加え,半数弱に係蹄の壊死性病変と細胞性半月体を伴っていた.IVMP 施行後血漿交換を行い,多剤併用療法を継続した.約 2 年後の再燃時には慢性病変の合併なく,IVMP の追加治療により治療開始約 4 年後に漸く臨床的寛解に至った.紫斑病性腎炎 6 型は多様性があるため,改訂 Oxford 分類や半定量的分類などを利用して再評価することにより予後予測が可能と思われ,層別化した治療を選択していくことが重要だと考えられた.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top