日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
難治性ネフローゼ症候群患者に対するリツキシマブ後のミコフェノール酸モフェチルの長期投与に関する有効性と安全性の検討
南 裕佳平本 龍吾篠塚 俊介松本 真輔江口 広宣秋草 文四郎
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 35 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

日本ではミコフェノール酸モフェチル(MMF)はネフローゼ症候群に対しては保険適応外使用となっており,ネフローゼ症候群に対する使用可能な期間に関しては明確な指針は存在しない.今回,難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ(RTX)投与後のMMF長期使用の有効性と安全性について後方視的検討を行ったので報告する.当科における小児期発症の難治性ネフローゼ症候群のうち初回RTX投与後,2年以上単剤でMMFを使用した13症例を対象とした.MMF使用期間の中央値は4年2か月,観察期間中11例が無再発で経過,残りの2例はMMF内服中止後に再発を認めた.腎生検を行った12例すべてが微小変化型(MCNS)だった.遅発性好中球減少症や遷延性低IgG血症は認めず,MMF中止に至るような重大な合併症は認めなかった.難治性微小変化型ネフローゼ症候群に対するRTX投与後の維持療法としてMMFを用いることで2年以上安全に寛解維持できる症例が存在し,進学や就職などのライフイベントを考慮した上で数年単位での投与を検討してもよいと考えられた.

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© 2022 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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