2025 年 38 巻 論文ID: cr.24-016
神経因性膀胱に対する腸管利用膀胱拡大術を施行後に,代謝性アシドーシスを繰り返し,成長障害を来した慢性腎臓病stage 3の12歳男児例を報告する.乳児期に,反復性尿路感染症,両側完全重複腎盂尿管,尿管膀胱移行部狭窄の診断で,両側尿管膀胱新吻合術を施行された.その後も尿路感染症を繰り返し,4本の膀胱尿管逆流症,神経因性膀胱の診断で,清潔間欠導尿を行っていた.しかし,尿失禁の管理が困難であったことから,12歳時に腸管利用膀胱拡大術が施行された.術後合併症として,腸管壁と尿が接することに起因すると考えられているanion gap正常高Cl性代謝性アシドーシスを繰り返し,5年以上アルカリ化療法剤の服用を要している.術後一時的に停滞した成長曲線が,アシドーシス管理開始以降,改善傾向となった.腸管利用膀胱拡大術後に代謝性アシドーシスを起こしうることや,アシドーシスは成長に影響を与えることを認識する必要がある.