日本小児腎臓病学会雑誌
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—原著—
小児期増殖性腎炎における尿中Vitronectinと糸球体硬化の関連に関する検討
高橋 勉稲場 進荒井 美和子酒井 由紀石原 俊二黒瀬 京子大嶋 忠幸高井 里香松倉 裕喜山本 習子岡田 敏夫
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1995 年 8 巻 1 号 p. 35-40

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抄録
 Vitronectin (VN) の腎疾患における関与を明らかにする目的で腎機能の正常なメサンギウム増殖性腎炎患児および腎機能低下例,健常児の尿中VNをELISA法にて測定した。その結果,メサンギウム増殖性腎炎患児の尿中VN排泄量は4.763±8.901ng/mlであり,健常児 (0.059±0.146ng/ml) と比較し有意に高値であり,腎機能低下例 (54.898±54.502ng/ml) に比較し低値であった。
 メサンギウム増殖性腎炎の尿中VN排泄量と腎組織病理所見との関係を検討した結果,メサンギウム基質の増加や硬化糸球体の有無と特に関連が強く,Mesangial Sclerotic Indexと尿中VN排泄量の間に有意に正の相関が認められた。
 このことより,尿中VN排泄量は腎組織の硬化性病変と密接に関連しており,尿中VN排泄量の測定により腎組織の硬化性病変の指標となりうる可能性が示唆された。
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© 1995 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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