日本小児腎臓病学会雑誌
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ヒドロキシプロピルセルロースに対するIV 型アレルギーにより尿蛋白が増悪したと考えられたIgM 腎症の1 例
金井 宏明沢登 恵美小林 杏奈後藤 美和東田 耕輔杉田 完爾
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論文ID: cr.2017.0124

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抄録

症例は7 歳女児。IgM 腎症に対しプレドニゾロン(prednisolone: PSL)内服を開始したが,尿蛋白は増加傾向となり治療前尿蛋白Cr 比1.1 g/gCr から最大4.3 g/gCr まで増悪した。血清Alb も低下したため,PSL を漸減し計8 週間の治療後に無効と判断し中止した。PSL 中止後,速やかに治療前の尿蛋白量まで回復したためPSLによる薬剤性腎障害と診断した。薬剤リンパ球刺激試験では使用したプレドニン錠® で陽性だったがメドロール錠® では陰性であり,プレドニン錠® のみに含まれる添加物であるヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose: HPC)で陽性の結果を得たためHPC が原因物質と判断した。PSL 開始後に尿蛋白が増加した場合には,治療無効と判断する前にステロイド剤自体の薬剤性腎障害も考慮するべきで,他の薬剤選択のためにも添加物の評価も行う必要がある。今回原因物質と同定したHPC は多くの薬剤に含まれているため留意すべき添加物である。

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© 2018 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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