論文ID: cr.2020.0185
リツキシマブ(RTX)投与後に水痘ワクチン株による汎発性帯状疱疹を発症した頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)の 1 例を経験した.水痘の罹患歴はなく,1 歳時に水痘ワクチンを 2 回接種していた.3 歳 4 か月時にネフローゼ症候群(NS)を発症した.ステロイド感受性であったが,減量にて再発を繰り返し,FRNS の治療としてシクロスポリンを導入した.その後も再発を繰り返し,5 歳 2 か月時にステロイドパルス療法と RTX の投与を行った.その後寛解し,ステロイド減量中の 5 歳 6 か月時に汎発性帯状疱疹を発症したが,静注用人免疫グロブリン製剤とアシクロビルの点滴静注により重症化することなく完治した.水痘の罹患歴がないため,水痘ワクチン株による帯状疱疹を疑い,ウィルス同定試験にてワクチン株と同定した.水痘ワクチンの定期接種化に伴い,RTX 投与後や複数の免疫抑制剤を使用している NS の患児では,水痘の罹患歴がなくても水痘ワクチン株の再活性化による帯状疱疹を発症する可能性があり,早期の適切な診断と治療が大切であると考える.