日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

難治性高血圧に対してレニン・アンジオテンシン系阻害薬,虚血性腸炎の体液管理に酢酸オクトレオチドが奏功したaHUSの1例
久家 沙希那塩谷 拓嗣 森本 優一宮崎 紘平宮沢 朋生近藤 宏樹坂田 尚己岡田 満杉本 圭相
著者情報
ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: cr.2021.0195

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome: aHUS)は補体制御因子の異常による血栓性微小血管症で,生命予後に影響する腎外病変に対する関心が集まっている.症例は3歳女児.血尿,蛋白尿,浮腫を主訴に当院へ紹介され,精査によりaHUSと診断された.臨床経過中に消化管出血,難治性高血圧,肺水腫,そして可逆性の脳萎縮といった多彩な腎外病変を呈し,特に重篤な消化管出血と難治性高血圧の管理に難渋した.病初期におけるaHUSに対する血漿交換療法とエクリズマブの併用療法に加えて,難治性高血圧に対してレニン・アンジオテンシン系阻害薬,そして虚血性腸炎の体液管理に酢酸オクトレオチドがそれぞれ奏功した.多臓器にわたる腎外病変を有するaHUSは重症例が多く,適切な治療を行わなければ致死的な経過をたどる可能性があるため,集学的治療による全身管理が生命予後の改善に重要である.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本小児腎臓病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
feedback
Top