日本形成外科学会会誌
Online ISSN : 2758-271X
Print ISSN : 0389-4703
原著
乳房再建術後の乳房知覚と認識についての満足度調査
村西 優美素輪 善弘児玉 卓也稲福 直樹沼尻 敏明
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ジャーナル 認証あり

2023 年 43 巻 9 号 p. 511-519

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抄録

 序文:乳房再建の術後評価は整容性の改善度にとらわれがちであるが,乳房知覚の回復や再建乳房を身体の一部としてポジティブに受け入れているかといった術後well-beingに関する事項も重要である。
 方法:乳房全摘術を施行された患者を対象に人工物(シリコーンインプラント)と自家組織を用いたそれぞれの再建乳房について,術後1年時と4年時に乳房知覚と再建乳房に対する認識・とらえ方についてのBREAST-Qを用いた患者満足度アンケート調査を行い,両者を比較検討し,時間経過による推移を分析した。
 結果:自家組織による再建法は人工物による再建に比較して有意に満足度が高く,人工物による再建の患者においては3年の経過で有意に低下する傾向にあった。
 考察:これらの結果は乳房再建法を選択するうえで,患者にとって有用な意思決定を支援する情報になる可能性がある。
 結論:乳房再建術後の乳房知覚と認識についての満足度は,人工物を用いた再建にくらべて自家組織再建で高くなる傾向がみられた。

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